夏
コンチキチキチと鳴らすのは京都の祇園祭。 ラッセーラはねぶた祭り。祭りの音は古今東西。 水の町・三島の祭りはチャンチキチ。 とろろこぶのような梅花藻がゆらめく湧水の小川は、晩夏の日差しに透明な光をキラキラさせ、三嶋大社の方からはしゃぎりの鉦が…
中学校2年生の頃だから、随分昔になる。その年の夏、苦手だった薄荷味のキャンディが突然食べられるようになった。 それまでは夜店の薄荷パイプも薄荷糖も苦手で、ドロップ缶に入っていた薄荷味なんかは、 透明な宝石みたいな赤や緑のキャンディの中に一つだ…
コロナのせいだろうか、 今年の夏は消えるように終わった気がする。 海やプールにも行かなかったし、お祭りもなかった。 たっぷりと残ったブルーのかき氷シロップ。 ボトルで残ったソーダ水。 まるで消化しきれなかった夏の象徴みたいに、キッチンの隅に残っ…
江戸下町情緒溢れる夏。 「恐れ入谷の鬼子母神」で有名な真源寺の界隈では、毎年7月に朝顔市が開かれる。 青、紫、紅紫。 絞ったちりめんみたいな変わり種。 参道を埋め尽くす植木屋自慢の朝顔たち。 隅田川を目指して歩けば、そこはかっぱ橋の道具街。 職人…
カントリーな雰囲気が旅情を誘う、 7月の美瑛・富良野。 県道沿いのレストラン「きゃらうぇい」。 わさびを添えたさっぱりトンテキ、自家製ソーセージカレーはピリッとおいしい。 なつかしい絵本、発見。 中富良野の畑の真ん中にあった小さなパン屋さん「pea…
丘をこえていこうよ 真澄の空は朗らかに晴れて 楽しい心 (藤山一郎「丘を越えて」より) どこまでも続く夏の丘。 のどかな緑の牧場に、白い花咲くじゃがいも畑、そば畑、背の高いもろこし畑。 抜けるような青空の下、熟れた黄金色の麦畑がおしゃべりでもす…
美瑛や富良野が好きで、何度か訪れている。 どことなく懐かしいのは、少し冷涼な空気と牧場の匂いが、幼い頃を過ごした御殿場に似ているからかもしれない。 丘の、広々として少しだけさみしげなその佇まいが、好きだった永田萌や葉祥明の描く絵本の風景にど…