しゃぎりの夜
コンチキチキチと鳴らすのは京都の祇園祭。
水の町・三島の祭りはチャンチキチ。
とろろこぶのような梅花藻がゆらめく湧水の小川は、晩夏の日差しに透明な光をキラキラさせ、三嶋大社の方からはしゃぎりの鉦がそよ風にのって街道の柳を揺らす。
三島の夏を締めくくる「三島大祭り」には、老若男女が昼間から浴衣姿でそぞろ歩く。
駅前の大通りから神池まで延々と伸びる夜店の列や昔ながらのお化け屋敷、山車の煌びやかな提灯がぼんやりと夜空を照らし出す夜、人混みは一路、三嶋大社の大鳥居前へ。
そこに集まりたるは絢爛豪華な山車の数々。
「昇殿」「荷崩し」「屋台」など伝統曲が鳴り響き、各町を代表するしゃぎりの音色が戦いあう三島大祭り名物「競り合い」。
しゃぎりの競り合いの音の大渦が、物凄い質量と速さで聴衆を包み込み、熱気が夜空に噴き上がっていく。
この音を聴かなければ、三島の夏は終われない。